突然ですがニュース観てますか?1日の流れとしちゃ大体7時のNHKに始まり、9時のNHK→10時ニュースステーション→ニュース23→NHKへと戻るのが最近の流れです。
ちなみにPM11:30からのNHKの「ニュース&スポーツ」は、その日の主なニュースとスポーツを20分のダイジェストでまとめた番組で、その日の出来事のまとめとして観るのに最適でお勧めです。その後のニュース解説も、一つの事象をかなり深く掘り下げて詳説しますんで、興味がある内容であれば観ています。
大体午前0時には
すっかり出来上がってそのまま寝ることが多いんですが、先日たまたま日付をまたがって観る機会がありました。
0時にこのニュース解説が終って、再び通常ニュースに戻るんですが,時々このニュース番組の最後でその日(前日)
国会で成立した法律について解説するんですね。
初めて知りました。
実際ニュース番組はしごしてても、政治のニュースって注目されている重要法案の審議についてだとか、総理の会見、野党の反応等はやっていても、実際に成立した法律についての報道って殆ど見ません…というか印象が薄い。勿論、国民生活に直結するような法律についての報道はありますが、そうでない法律については殆ど報道されない気がします。
ちなみにその日に成立した法律(参院で可決され衆院に送付された法律案)で気になった法律が「一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案」と「国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案」
8月に人事院が勧告した
公務員の賃上げに基づく法改正で、「公務員の一般職の
給与を上げる」ってのが前者、また「公務員の一般職の給料を上げるから国会議員の公設秘書の
給与も上げる」ってのが後者の法律案。
景気回復で、
民間企業の給与平均が公務員のそれより上回っているので、優秀な人材の民間への流出を防ぐために給料を上げるってのが、この法案提出の理由だそうです。
ただ…、人事院が勧告した「民間企業の給与平均が公務員のそれより上回っているための給与改定」の民間企業の給与平均てのは、
リストラで大幅に人員を減らす、あるいは下請け企業へのコストダウン強制により空前の高利益を上げている大企業や不良債権の処理を行いこれまた史上最高の利益をたたき出した銀行の行員の給与がその分子に入ってますから、必然的に平均が高くなるのは当然といえば当然でしょう。
それに、大体公務員になりますと民間とは異なり、例えば住宅とか、諸手当等給与以外で相当優遇されていますし、倒産・解雇のリスクもないですから、民間の給与平均と単純に比較できるものではないと思いますが…
そもそも、こんな重要なニュースをNHKが深夜枠の隅っこのほうでさらりと報道するだけでいいのでしょうか?
大体この法案、議員立法でないってのが気に食わない。行政を支える公務員の成り手が民間に流出し、国民が受くべき必要な行政サービス等の低下や、国家、政府の基盤の弱体化を憂えた議員が提出したっていうならまだしも、出したの
霞ヶ関のお役人ですからね。
そんなんで、世の中の動きをよく知るのは、時にはしっかりとした「めがね」も必要です。
新聞の片隅、ニュース報道の一遍にとんでもない真実が潜んでいるって事を、改めて感じさせられました。
「民は知らしむべからず。寄らしむべし」江戸時代から大して変わっていないんですな…お上のやることは…
…前置きが長くなりましたが、今回は『めがね』
最近邦画大作で
肩透かし喰らいまくったんで、今回は小粒ながら秀作を…
前置きでは時には『めがね』をかけることを勧告
しましたが、この作品は「めがね」を外すことを表現した作品だと感じました。
舞台は南の海の孤島の片隅のペンションと海岸、登場人物はそのペンションの主人と、ペンションに集まるちょっと風変わりな客達。そこで繰り広げられる人間ドラマ…てな展開。
…本来ですとペンションに集まる客の職業とか、ペンション主人の経歴なんかが劇中で語られるんでしょうが、この作品では一切語られない…劇中主演の小林聡美が問うシーンもありますが、ちょっと不可解なペンションの主人や常連にはぐらかされたり…。
とかく、このペンションが風変わり。
お客がたくさん来ると困るからとまともな看板も出さない主人ユージ。
春、決まった時期に現れて海岸でカキ氷だけを出す謎の常連客サクラさん。
毎朝のようにペンションで朝食を取り、そして遅刻する高校で生物を教えている教師ハルナ
そんな奇妙な人物が屯する島のペンション“ハマダ”に、作家(?正確には語られない)タエコが訪れる。
忙しい日常から逃避するように、息抜きに島を、“ハマダ”を訪れたタエコを迎えたのは、“常識”にとらわれない天真爛漫なユージ達。
「観光するところなんてありませんよ。“たそがれ”るところはありますけれど」自分が想像していた旅とは異なる環境に、タエコは戸惑い、時に衝突する。しかし、それさえも包み込む雰囲気にいつしか取り込まれ、やがてタエコもいつしか“たそがれ”る自分に気づいていく…
とかく“常識”という“めがね”をかけていると、本当にそこにある現実が見えない、それどころか目をそらそうとする。
例えば、あなたが抱く南の島のイメージってどうでしょう?
仮にあなたが旅をして、泊まるホテルの対応のあなたの想像は?
もし、登場人物の経歴が劇中で事細かく語られれば、観ている者は固定観念という“色めがね”で、登場人物を見てしまったでしょう。
情報、固定観念、ステレオタイプ…。本来視野を広げるべき、そんな“めがね”がいつしか足かせになっている。それでも、その“めがね”をかける人、そしてかけさせられる人。
しかし、“めがね”はかけ続けると疲れます。
時にそれを外さんがため、人は旅に出る…
“観光”で訪れた島で見る海面と、“旅”で訪れた島で見る海面はおそらく違います。
“旅”に出て…そんな海面をみながら“たそがれる”…
流行のスピリチュアルで有名な江原啓之じゃありませんが、海や山には癒しの力があるそうです。
その昔、日本人は山や海そのものを信仰の対象にしていましたから、眼鏡のなかった昔の人々は時に“たそがれ”て、海や山に癒されていたのでしょう。きっと“めがね”を外せば、現代を生きる我々にも同じヒーリング効果を得られるはずです。
…と、そんなことを気づかされたのがラストのこのシーン。
島から帰京するタエコ。空港まで送るハルナの車窓から島を取り巻く海面を眺めます。そのとき一瞬の風がタエコが変えていためがねをさらいます。
その直後に再びうつるどこまでも青く深い海…
たまにはこんな作品もいいですね。 前回では毒吐きまくったんで、今回はお口直しの一本でした。