北京鉄道書店に行ってきました。

[yz31]

3月下旬に，北京鉄道書店に行ってきました。そのとき仕入れた書籍を順不同で紹介したいと思います。特記のない場合は全て中国鉄道出版社刊。

鉄道出版社は最近受験参考書や娯楽雑誌等に手を伸ばしているのが目につき，台所事情はだいぶ苦しいようですね。

まずは定番から。
『中国鉄路地図集』60元
2012年2月版の最新号です。もっとも信頼が置ける地図で，これがあるだけで鉄道旅行の楽しみが倍増しますね。中国の地図は概して精度が悪いので，この地図の信頼性は貴重です。また，以前は馬鹿でかく馬鹿重くて扱いづらかったのですが，今回，B5判ソフトカバーになり，圧倒的に扱いやすくなりました。ちなみに手元にはこれを含めて3種類の鉄路地図集があります。成昆線の写真の最初の号（地図出版社と共同出版），2009年頃の号，および，今回の号です。

[yz31]

『鉄路客運業務基本知識』12.8元
1998年発行。昨年の旅規大改定前の内容。運賃計算の方法やきっぷの書き方など詳細に記されており，日本の時刻表のピンクページと同等の充実度があります。これを旅客にも普段から公開していただきたい…。
改定前の旅規が非常に旅客の立場に立ったよくできたシステムであったことも新鮮な驚きです。途中下車前途無効，乗車変更事実上不可になってしまったいまでは全く自由な旅行というものが出来ません。この本の大半の内容も，乗車変更の処理にあてられていることから考えると，もしかすると，現場が複雑な旅気に対応できなかったために，大幅な単純化を行ったのかもしれません。

[yz31]

『鉄路客運服務礼儀』18元
列車員のサービス，態度，業務について事細かに解説した本です。この本の要求水準は非常に高く，馬の耳に念仏という気がしないでもないですが…

[yz31]

『客運服務礼儀手冊』20元
これはもはやトンデモ本です。鉄道書店の中で爆笑してしまいました。
上の本とは対照的に，多数のイラストで客運業務上の接客や態度などを解説しているのですが，その「悪い例」がもうその通り過ぎるんです。また，言ってはいけない言葉があまりにも普及しすぎていて，この本の著者はよく現場のことを分かっているなとかえって感心させられました。

[yz31]

『車号員工作問答』12元
操車場などで列車の編成作業をするためのマニュアルです。「換長」などが理解できます。また，巻末の貨物列車番号リストや，貨車の番号分布表などは，他では見たことがなく，非常に参考になります。貨車の型式一覧もついています。

[yz31]

『鉄路乗車証管理問答』8元
鉄道職員用に乗車証があるのですが，その発行／管理マニュアルです。鉄道職員の乗車証の実態についてはほとんど一般客には分からないので，貴重な内容です。
かなり周到なシステムになっている（鉄道職員の病院通いのための乗車証まであるらしい）ことがわかります。また，文中で，発行の乱れについて何度か言及されており，問題になっていることがうかがえます。

[yz31]

『全国鉄路客運営業駅示意図冊』30元
客運路線図です。各鉄路局の図が綴じ込まれています。秦皇島が皇秦島になっているミスを1ページ目から見つけましたが…

『鉄路客運運価里程表』という，旅客取扱駅とその営業キロの一覧表を2次元図に書き起こしたのが本書（図）です。また，全国鉄路旅客列車時刻表は，この『鉄路客運運価里程表』に掲載されている線区および駅のみ掲載しています。そして，鉄道駅の発券窓口で切符を販売できるのも，この『鉄路客運運価里程表』の範囲内です。すなわち，この『鉄路客運運価里程表』に漏れている線区，駅は，どれだけ列車が走っても，どれだけ列車が停まっても，時刻表には現れませんし，切符も買えないのです。『鉄路客運運価里程表』の影響力の強さを見た思いがしました。もちろん，この図には西安北部の梅七線は載っていませんし，楡林-西安列車の時刻表未掲載駅はそっくり全部載っていません。

[yz31]

『鉄路客運運価里程接算駅示意図』5元
上は全駅掲載ですが，これは接続駅と大駅のみ掲載のいわば路線接続図です。折返段の意味は，西小倉-小倉の特例と同様でしょう。本当に減算されているのか怪しいですが。
また，正式線名が付されているので，線名を知るには良い図です。

[yz31]

『旅客票価表』8元
運賃表です。普客硬座で6000キロ乗るとたった214元だそうです。このように，あり得ないマイナー運賃まで表示してくれるので，なかなか楽しいです。また，聯合（合計額）価格だけでなく，寝台券の部分だけの運賃表なども収載されているので，きっぷの中の，客票部分，加快票部分，臥票部分，空調部分などの内訳が分かります。

それにしても，新空調の馬鹿高さをいまいちど意識させられます。ほぼ2倍というのはやはりあまりにも高いです。

[yz31]

『旅客列車乗務工作導読』14元
列車員アニュアル。接客ではなく，乗車変更の処理や安全確保など実務的な内容が中心です。

[yz31]

『2008年全国鉄路統計年鑑』20元
統計書。おそらく，理解できる人が読むとすごく有意義な書なのだろうと思いますが，私にとってはだいぶ高等な本でした。上海局は軟座車を681両保有していますが，それに対して，太原局，蘭州局に至ってはそれぞれ3両しか保有していないというのが，土地柄を示しているなと思いました。

[yz31]

『鉄路臨客客運乗務員』7元
これも，列車員マニュアルです。なぜ『臨客』用を独立させなければならないのかよく分からないのですが，もしかしたら，混雑対策で多少加筆されているのかもしれません。内容をまだ詳しくは読んでいません。

[yz31]

『中華人民共和国鉄道部機車操作規程』5元
機関車の操作マニュアルかと思いきや，法律調の操作手引とでもいうべき内容です。あまり実践的内容ではありません。

[yz31]

『鉄道概論』22元
鉄道高校向けの教科書です。趣味者にとっても，鉄道システムを理解するのにうってつけの本だと思います。変則5灯信号の意味をこの本で初めて理解しました。
『鉄道概論』自体は，さまざまな著者グループによるさまざまな版の本があるようです。私が購入したのは「佟立本　主編　　　第5版」というものです。

写真2枚目は，転轍機の表示の解説。

[yz31]

『中華人民共和国鉄道部　鉄路客運運価規則』『中華人民共和国鉄道部　鉄路旅客運輸規程　鉄路旅客運輸辦理細則』各1.6元，6元
日本で言う旅規にあたるものですね。ただ，昨年の大改定の前のものなので，今は役に立たなくなっています。