暑いですね…
暦のうえではもう秋なんですが、連日最高気温記録更新で列島中が
最高気温日本一の座をめぐって熱くなってます。アホか…
そんなわけで今回は少し涼しい話題を…。
『怪談』ホラーです。監督は『リング』でハリウッド映画にも進出した中田秀夫。なんと5年ぶりの邦画。
邦画ホラーのあの粘着質と、ハリウッドホラーの効果音と相乗した突発性がバランスよく大変怖い作品です
なにが怖いって
主演の尾上菊之助さすがは歌舞伎役者ってとこなんでしょうが、立ち居振る舞いが存在感ありすぎなとこと…なにより
目が怖い。遠くを見るようで実は近くを見ている…というようなあの深いまなざしは独特ですね。
市川団十郎の「睨み」に代表されるように、歌舞伎はなにより「目」で演技しますから、まさに
眼力登場するシーン観て
お前実は幽霊だろ!!って先走ってラストを想像してしまいました。

何でしょうかね、歌舞伎役者独特のオーラなのか、普通に道歩いてても道行く人が自然に道を譲るみたいなあの独特の感覚は何か霊的なものを感じます。
特に「目」は、正視していると逆にこちらが見られている感覚に陥る…、
「深淵を覗いていると、逆に深淵が覗き返してくる」ように感じる…あの感覚です。
「淵=水」、日本のホラーに欠かせないアイテムが
水幽霊が立っていた場所が濡れていた…なんてエピソードがあるくらい日本の幽霊と水は密接な関係なんですね。
「淵=縁」、この世とあの世を分かつ境という思想のようなものが日本にはあるからかもしれません。曰く
三途の川…たとえばこんなシーン…
部屋にいる新吉(尾上菊之助)の額に
水滴が滴り落ちてくる…ふと、見上げるとそこには…!!
これがもしハリウッドホラーならば、多分水滴ではなく…
部屋にいる新吉(尾上菊之助)の額に
血が滴り落ちてくる…ふと見上げるとそこには…!!
ちなみに、ホラーではなく怪物パニック物なら
血が
唾液になるんでしょうが、水でなく血や唾液ならその後に続く「ふと見上げる」…見上げた先にあるものは!!…の衝撃が半減してしまいますね。
このあたりの演出に、まとわりつくような日本ホラーの怖さがあるんでしょうね。
色彩も同様。彩色の中にある
無機質な白。特に時代劇になりますと、幽霊も色彩豊かな着物を着ていますから、なおさら白い顔や手足が際立って見える。
たとえばこんなシーン…
豪雨の中、薄紫色の着物をを着た女が橋を渡って来る。橋の隙間から新吉が見上げると、真っ白な顔の豊志賀(黒木瞳)がこちらをじっと見つめている。濡れて乱れた髪は垂れ下がり、ぺたりと頬にに張り付いている…
どうです、ぞくっとしませんか?これがハリウッドホラーなら、最初から
血まみれで
はらわた引きずって歩く…みたいな異形の姿で登場しますから、最初はびっくりしてもそのうち慣れちゃう

演出ついでにこんなシーン…
冒頭、特別出演の講談師が『怪談』を実演するシーンがありますが、講談師のそばに立ってる燭台のの火が幽霊の話にはいっていくと突然風になびくんですね。勿論演出でしょうが
ですよね?(汗)、これもまたぞくっときますね。
さて、「目」の話に戻しましょう。
歌舞伎役者に限らず、上手い役者は目で演技します。
イァン・マッケラン、アル・パチーノが名優と呼ばれる所以は目だけで演ずる、それだけで印象に残るシーンが多いこと。
たとえば『ダヴィンチ・コード』のマッケランは、善玉のときと悪役と判明したときの目の動きが全く違います。
最近大河で話題で全国のおばちゃんのハートをわしづかみにしたGactoも、目での演じ方が上手い。目が大きいだけだったりして(笑)
また、塩見三省や國村準も非常に目の演技が非常に印象に残り、名脇役としての役者として名高い。
「目」ついでに、最近見た中では…
『消えた天使』のケイティ・ストリックランドの豹変振り。実は真犯人だと判明してからの猟奇的な「目」は必見です。
病的なまでにギラギラ『ラッキー・ユー』ギャンブラーの話ですが、まさにポーカーフェイス…ギャンブラー同士のの世界の目による駆け引きは魅力。中には目を隠すために、サングラスをかけるなんてテクニックも。
『ベクシル-日本封鎖2077-』
フルCGのアニメーションなんですが、残念なことに
キャラの目に生気がない。そんなんで、キャラクターがまさに
ロボットみたいになって、すごいことになってます
生気がない…ただの人形のようだ…「目は口ほどにものを言う」いやはや、全くそのとおり。
なお、黒木瞳の「目」もぞっとさせられる今回の『怪談』…松竹久々の当たりだわw